おうさまげぇむ。

「がんばれぇ~!!」

どこのクラスからも、応援の声がかかる。
私は緑のビブス(ゼッケン)を着て、グランドに立った。

1~5組まで、皆並ぶ。皆闘志に燃え上がっていた。

《それでは始めます》

クラウチングスタートの姿勢をとる。

《位置について》

体勢を低くする。

《よーい》

腰を上げる。

――――――――――――パァン!!

ダッ!!

皆で一斉に土を蹴った。

「がんばれぇ!!」
「神流、いけぇー!!」
「祇苑、その調子!!」

三組の前を通れば、クラスメイトの声が聴こえる。その声が、私を押した。

前に人はいない。あるのは、白く靡く、ゴールテープだけ…。


――――――――――――ダン!

ひときわ大きく踏み込んだ。

《1位、2年3組、神流 祇苑さん!》

1位でゴール。
3組の控え席からは、嬉しさの雄叫びが聴こえる。




でも…その中で一人、お茶を飲んでる男の子がいた。

椙村 暁夜
私と同じく男子学年別学級選抜リレーに出場する、バスケ部の男の子。

その………私の、想い人。


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