smooch【BL/完結】


母さんの用意していた箱に、
紙の緩衝材と一緒にチョコをつめていく。

ふたを閉じて、最後にリボンを張り付ける。
結ぶのではなく、すでに形作られたリボンの飾りの裏にシールのついているタイプだ。
因みに全部、リボンの色は違う。

「こっちの方が綺麗なんだから、手抜きじゃないんだから。
大事なのは中身なんだから!」

ブツブツ呟きながら、母さんは箱を2つ完成させていた。

珍しい母さんの手作りだし、包装がどうでも喜んで貰えると思うけど。
そう思いながら、自分の手元へと視線を落とした。



……つい、つられて包んでいたけど、
さて、これはどうしようか。

逆チョコ、友チョコ、世話チョコ。
最初に母さんの呟いていたそれらに、誰かを当てはめようと思い浮かべてみる。

けれどこれを渡す1人なんて。

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