smooch【BL/完結】
どうしようか悩んでいると、母さんが手元の1つを僕に差し出してきた。
「はい、ハッピーバレンタイン!」
……どうやら1つは僕の物だったらしい。
それならこれは、母さんに渡したらどうだろう。
うん、それがいい。
そうしよう。
決めて手渡そうとした、僕の動きより早くに母さんは立ち上がった。
「さあて、じゃあ私はこれを渡す準備をしなきゃね!」
そして風呂場へと向かっていった。
僕は渡し損ねた箱を持って考える。
渡すか、食べるか。
そう、全部食べてしまうという選択肢だってあるんだ。
向こうだって、僕がこのイベントに参加するとは思っていないだろう。しかも手作りとか。
だから、証拠を残さず食べてしまえばいいんだよ。