smooch【BL/完結】
「あ、そうだ。シャツ脱いで貸して」
いつもと何も変わらなく寛いでいる時、ふと思い出した。
「……何で?」
鍵を渡した時よりも不審げに、彼は眉をひそめた。
「ボタン、つけてあげるから」
そう答えると、しばし躊躇った後に彼が答えた。
「別に、いいよ」
「そう?」
彼がそのままでいいのなら、俺は気にしない事にした。
なんとなく点けたテレビからは、タイムリーに卒業ソングが流れている。
「卒業したね」
ぽつりとこぼした言葉に、彼は不思議そうに俺の顔を見上げる。
「これで教師と生徒じゃなくなる訳だけど」
「うん」
こちらの意図を知ってか知らずか、あまり感情の見えない返事で続きを待つ。
「君は俺と、どうなりたい?」