smooch【BL/完結】


さて寝るかと、彼が先に居るはずの寝室へと入る。
ドアを開け閉めしても、隣に入っても何の反応も無い。



「寝ちゃった?」

小さく声をかけると、やっぱり返答は無い。

俺もこのまま眠ろうと思った時、同じく小さい返事が返ってきた。


「…………寝てます」

起きてるじゃないか。

そう言おうとしたけれど、思い直し、こう返した。

「そうだね、もう寝てしまったみたいだ」


さっきよりかは短い沈黙の後、彼は再び口を開く。

「……嬉しいんです」



彼は背を向けて眠っているから、その顔は見られない。


そこでさらに身じろいで、枕に顔を埋めたようだ。
くぐもった声で彼は続ける。


「どうしようもなく、たまらなく
……好きです、好きなんです」


泣き出しそうな、そんな声で彼は告げた。

< 118 / 125 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop