smooch【BL/完結】
さて寝るかと、彼が先に居るはずの寝室へと入る。
ドアを開け閉めしても、隣に入っても何の反応も無い。
「寝ちゃった?」
小さく声をかけると、やっぱり返答は無い。
俺もこのまま眠ろうと思った時、同じく小さい返事が返ってきた。
「…………寝てます」
起きてるじゃないか。
そう言おうとしたけれど、思い直し、こう返した。
「そうだね、もう寝てしまったみたいだ」
さっきよりかは短い沈黙の後、彼は再び口を開く。
「……嬉しいんです」
彼は背を向けて眠っているから、その顔は見られない。
そこでさらに身じろいで、枕に顔を埋めたようだ。
くぐもった声で彼は続ける。
「どうしようもなく、たまらなく
……好きです、好きなんです」
泣き出しそうな、そんな声で彼は告げた。