smooch【BL/完結】
嘘が不発に終わった彼の顔が面白いので、
ちょっとからかってみようと思う。
「俺は君の事好きだけどね」
「………………」
寄せられた眉がさらに下がった。
「大好きだよ」
「………………」
彼は無言のままだ。
照れてる様子でもないから、
エイプリルフールのノリだと思ってるのか
「むしろ愛してるね」
「………………」
あ、泣きそうだ。
何?この可愛い生物。
「ところでさ、エイプリルフールって、
国によっては嘘を吐いてもいいのは
午前だけなんだよね」
知ってた?と笑いかけると、
彼は口をぽかんと開けたまま
何も言えずに数秒静止した。
「まあそもそも俺は嘘を吐く気ないしね」
彼の嘘にも、騙される気は無い。
っていうか用意してたのはあれだけか?
なんとも解りやすい嘘だ。