smooch【BL/完結】

「俺だってね、ちょっとビックリしたよ。
 でも考えてみれば、
 そういや今日は4月1日だったなって
 嘘だろうなって気付いたけどさ。

 君、俺に嫌いって言われたら嫌だろ?」


そう訊ねると、彼はまた俯いた。


「俺だってね、傷付いたよ?」


嘘だけど。


だって彼は解りやすすぎる。

驚く暇も、
傷付く暇さえ無かった。


そもそも家に来た瞬間に
嫌いって言われる意味が解らない。

あまりにも突然すぎるし、
何かしら言ってくるだろうなと予想は
してたから爆笑を堪えるのが大変だった。



つまり、俺は今少し嘘を吐いている。

そして結果的にさっきも、嘘を吐いた。

< 30 / 125 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop