smooch【BL/完結】
6.放課後、教室にて
ふと視線が絡んで、そのまま顔を寄せ
軽く唇同士が合わさる。
……煙草の味。
「またどっかで吸ってたんだ?」
「先生以外にまだ
見つかってないからいいじゃん」
そういう問題では無いだろう。
「っていうかさ、普通逆じゃないかな?」
相手の唇で煙草を味わうのは。
「どうでもいいじゃん」
「ま、そうだけどさ」
彼の手が止まり、
どうやら学級日誌を書き終えたらしい。
「じゃあ、教室で待ってるから」
どうやら今日は一緒に帰りたいらしい。
そう言う彼に軽く手を振り、職員室へと向かった。
今日は特にやり残した事は無いし、
彼が待ちくたびれる事はないだろう。
学年が上がって、彼は少し素直になった。
理由は解らない。
何か心境の変化でもあったのだろうか。
……あと1年か。
生い茂る緑を窓の外に見ながら、
この先の事を考えてみる。
嫌でも、次に春が来る頃には
第三者から見た俺と彼の関係は変わる。
その時に彼がどうしたいか、
俺がどうするかなんて、まだ解らない。
どちらにせよ、彼にとって悪い方へ転がらない事を祈ろう。
【放課後、教室にて 終】