smooch【BL/完結】
ちょっとは馴れたのか、
まっすぐに俺を映し出す瞳。
……本当に、黙ってれば人形みたいだ。
改めて、そう感じた。
初めにそう思ったのは、
きっと教室で、薄く笑みを浮かべる
彼の演じていた儚げな姿を見た時だろう。
八方美人ゆえの、あの表情は
素の彼の笑顔の数分の一程の威力しかない
けれど、静かな優等生を
印象付けるには十分なものだ。
一緒に居るのが当たり前になった今では
ちゃんと笑うのが見たくて、
好きだとか伝えているのだけど、
大体が照れによって隠されてしまう。
全てではないから、いいのだけれど。