smooch【BL/完結】
あ、そういや今日、
俺の誕生日……だった。
その事を思い出したのは、夜も更けた頃。
携帯に来ていたメルマガをなんとなく読んでいたら、誕生日を祝われていた。
ああ、なるほど。
彼は俺の誕生日を祝おうとしていた?
そう考えれば合点がいく。
そこで丁度、風呂に入っていた彼が上がってきた。
日付の変わる直前。
きっと彼は、俺の誕生日を知っていて、
何かしらで祝おうとしていたんだろう。
なのにこの時間まで、
おめでとうとか何も言わない。
らしいと言えばそうだけれど、
朝、寝ている相手に抱き着くのは出来るのに、一言言うのは恥ずかしいのか?
そしてやっぱりあれ、
サービスか何かだったのか?
ならもっと、他にもあるのに。
でも、まあ、今なら間に合うよ。
足の間に座らせて、
濡れた髪を拭きながら尋ねた。
「何か俺に言う事、無いかな?」
誕生日だって、気づいてますよー、と
アピールする為、顎で時計を指しながら言った。