smooch【BL/完結】

開かない唇を少し眺めてから、
俺は少し下を向いて、耳元に顔を近づける。

「聞こえなかった?」

耳に息がかかると、ビクッと反応を返す。

もう1回言おうか?と、
続きを紡ぐ前に、手が伸びてきて、口を塞がれた。


「お誕生日おめでとうございます先生っ!」

一言で、早口で彼は言いきった。
その顔は赤い。

だから何で、照れるんだろうね?

顔を眺めながら、その理由を考えてみた。


もしかして誕生日を知っていた事自体が?

彼に誕生日を教えた事は、
そういえば無いような気がするが、
担任になった時、自己紹介時に言った気はする。

それを憶えていないとしても、
調べる気になれば、すぐに分かるであろうことだ。


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