smooch【BL/完結】
何もしないよ、本当に。
ジト目で見てくる彼に、
内心そんな言い訳をした。
本当に、何もする気は無い。
俺は。
向き合うように座り直すよう指示すると、
それには大人しく従っている。
それから、おずおずと見上げてきた。
いつものように、
キスされるのを待っているんだろう。
でも折角の誕生日なんだし。
「お祝いって事で、君からしてくれる?」
滅多にないけど、たまに、なら普段もするし。
……明日になるまで放しはしない予定だけど。
まあとにかく、それ位いいじゃないかと、
早速逃げ出そうとする彼を、
朝のように腕の中に閉じ込めてみた。