smooch【BL/完結】
「……離してください」
さっきとは一転して、
視線は俺から外れ、横の方を向いている。
「ダメ、ちょっとだけだから」
そう言って前を向かせようと、
顔に手を伸ばした時、彼はこう言った。
「プレゼント、ある、か、ら……」
後半に行くにつれて小さくなっていく言葉に、俺は驚いた。
え?マジで?
さっきの彼同様、多分そんな感じの顔をしていたんだろう。
ちょっと膨れて俺を見て、
緩んでいた腕から逃れ、
床に置いていた鞄を開けた。
そこから小さい袋を取り出す。
「どうぞ」
俺の正面に戻って来て、座って、
賞状でも渡すかのように、袋を差し出された。
「どうも、ありがとうございます」
俺も思わず、彼のように頭を下げながら受け取る。