smooch【BL/完結】
袋は、近くのドラッグストアの物で、
端の方にちょこんと存在する、
恐らく自分で貼ったんであろう、
リボンの絵のシールを見て、思わず頬が緩んだ。
「開けてもいいでしょうか?」
「……よろしいですよ」
何だ、その返答と間合。
袋を開けると、中には四角いパッケージ。
取り出してみると、
それはリップクリームだった。
因みに2つ。
メンソール入りと、何か海外のお菓子で見たような感じの物だ。
……そういえば寒くなり始めてから、
俺の唇はやたら乾燥して、時々切れていた。
思わず、血が出たとか呟くと、
心配そうな顔で見てきていたから、
それを憶えていて、選んでくれたんだろう。
因みに彼は、血とか、
怪我の程度に関わらず苦手だ。
誰かが転んで、
盛大に膝を擦り剥いたりしていたら、
それはもう、こっちが逆に心配になってくる程の顔をする。
だからちょっとのこれも、
彼は結構気にしていたみたいだ。
なにはともあれ、
その内買おうと思って忘れていた物だし、
ありがたく使わせてもらうとしよう。