smooch【BL/完結】
もちろん、身を、だ。
いつもだったらそのまま悪態を吐くはず。
だけど今日は違うのかも見届ける間もなく、抱き寄せて、引かれた分を戻した。
甘い匂いのそこに口づけると、
さっきよりも、いつもとの違いが大きかった。
甘い。
パッケージの通り、
匂いの通りに、その唇は甘くなっていた。
これ、味までする事を、
彼は知っていたんだろうか。
知っていたとしたら、
俺に日常的に使わせようと思ってな訳は無い。
つまりは今のように、
こんな風な使用用途になるに決まってる。
それを考えて、だろうとなかろうと、
とにかくこっちのは、美味しく頂かせて貰う用に決まりだ。
妙な甘さと油の味は、
正直言えば、美味とは言えないけれど、
理由付けには丁度いい。
とりあえずこれから毎日、
彼に塗って貰う事にしよう。
この唇で。