smooch【BL/完結】
まだ食べきらない内に、もう1つ。
同じようなチョコを差し出してみる。
何で?と言いたげな表情で、
だけれども、それも受け入れられた。
そこにすかさず、俺はこう言った。
「トリック・オア・トリート?」
もごもごさせるだけで、
喋れない彼に笑いかけながら、
その唇に重ね合わせる。
お菓子でも悪戯でも、
どっちを選ばれても俺のする事は一緒だ。
舌をねじ込ませると、どうやらミルクチョコだったらしく、結構な甘さ。
だけど甘党な彼には丁度良かっただろう。
片方のチョコを貰って、口を離す。
今度は違う意味で喋れない彼は、
ただ顔を赤くして口を動かしているだけだ。
ハッピーハロウィン!
とにかく俺にはいい日だった。
【12.10月31日 終】