smooch【BL/完結】
とりあえず頭を撫でながら、
なんとなく振り返ってみよう。
……今年の後半は、ちょっと忙しかった。
後半というか、最近。
11月23日。
そう、彼が間違えて覚えていた勤労感謝の日の、正しい日だ。
何をしてくれるのかと、
楽しみ半分、怖いの半分。
無茶をして怪我をされたら大変だ。
気を張って過ごしていたけれど、何事も起こさなかった。
何もする気がないか、憶えていないんなら、それはそれでいい。
そう思いながら、プリントを作るため、パソコンに向かっていた。
その背後に、ふいに彼が立った。
何かするのかと待っていると、
両手が伸びてきて、肩を掴まれる。
そのまま、遠慮がちな力が加えられる。
「揉んでくれるの?」
首だけで振り返り、そう尋ねると、肯きが返ってきた。
憶えていたのか。
危なくない事でよかった。
弱いままの手に、
もう少し強くしても大丈夫だと告げても、強さはあまり変わらない。