smooch【BL/完結】
小一時間ほど経った頃。
一旦片付いた台所で、
冷蔵庫からチョコを取り出す。
「……うん、大丈夫!」
恐る恐る傾けてみた後に突っついてみたりして、母さんは小さくガッツポーズをした。
僕は、その動きでまな板を落としそうになるのを慌てて支えた。
「はい、じゃあ手を出して」
言われるままに手を広げると、その上に大量の茶色い粉を落とされた。
匂いからして、ココアなのは解る。
でも、多すぎないかな……?
そう思ったけど、ココア美味しいし、むせない程度なら大丈夫かな。
そう思い直し、次に手に乗せられたチョコを丸めていく。
予想よりは綺麗に纏められたそれを置く為に、母さんがお弁当の仕切りカップみたいなのを並べはじめた。
準備を整えると母さんも丸め始める。
1粒ずつそこに並べていくと、
カップの柄もあってか、自分が作ったとは思えない完成度だ。
やれば出来るんじゃないか。
隣で母さんも同じような気持ちだったらしく、しきりにうんうんと何かを納得するように笑顔で頷いている。