私の狂った物語

涙が頬を伝います。


あの日から何度泣いたでしょうか。

今、隣にいるあなたは涙さえ拭ってくれません。


「君は綺麗な世界しか見てきていないんだよ」

突然、あなたは言いました。

「汚い世界をしらずに生きていたんだよ。というか両親に見せないように育てられてたんだよ」

私が令嬢であることはあなたも知っていました。

私が言ったのです。あなたに嘘をついたり、隠し事をするのが嫌だったから。

でも、それがいけなかったのですか……?

もう、訳がわかりません。

「君は真っ直ぐすぎるんだよ……僕にはそれを受け止めることができなかったんだよ」

あなたは私を見つめる。

「君の真っ直ぐさが僕には痛かった。」

そう言うとあなたは立ち上がって私の家から姿を消しました。



残された私は部屋に残った久しぶりに匂う彼の香りに抱かれて戻らない日々に涙を流しました。



──END──
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