菊の花

この藤〈とう〉国では男が産まれず、長女である紗羅が頭主になることが決まっている。

「守ることは一人でもできます!」

「城下のものが納得せん!」

父の言葉に何も言い返せずに紗羅は顔を俯けた。

「明日、已の刻にこの城で見合いを行う」

「・・・」

「清煉もその場に置いておくように」

「・・・はい」

沙羅は消え入りそうな声で返事をして父の部屋を後にした。


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