菊の花
目の前に頭を下げる男達に沙羅は微笑みかける。
「頭をあげて下さい」
その声のあとに二人の頭があがる。
ゆっくりと・・・
今まで見てきた男とは違うことに沙羅は気付いていた。
真っ直ぐな目に優しそうな口もと、凛としていて放たれるオーラが他の男とは比べものにならない。
沙羅の目の前にいる男はそんな男だった。
しかし、沙羅は今の状況を思い出す。
「我が国へようこそ」
先程と変わらぬ笑みを沙羅は将達に向ける。
その姿はまるで女神のようだった。
「初めまして、私、沙羅と申します・・・そして」
沙羅は冷たい笑みを浮かばせながら驚くべき言葉を発する。
「さようなら」
そう言って沙羅と清煉は軽々と体を動かし宙を舞う。