菊の花
「話しを戻しますが・・・この婚約、どういたしますか?」
沙羅は真剣は表情で将に尋ねる。
「俺は一つだけ条件を守ってくださると言うのならば受けたいと思っています」
将も真剣な表情で沙羅に話す。
「条件とは?」
沙羅は怪訝な表情を浮かべる。
「貴方が無駄な殺生をしないことです」
沙羅はその言葉に目を見開いた。
「我が泰国は人の殺生は許されないものとされています。この藤国が違うことは分かっていますが、人をあやめることは善いことではありません。意見を言っただけで殺すなど言語道断です。なので、これから一生人を殺生しないと誓ってもらえるのあればこの婚約を受けます」
将は真剣な眼差しで沙羅を見つめる。
「・・・いいでしょう。私が殺生をしなければいいのですね」
沙羅は明らかにいつもと違っていた。
誰かにこんなにはっきりと言われたのは初めてだった。
「えっ・・・では・・・」
将は戸惑いながら沙羅を見つめる。
「不束者ですが、よろしくお願い致します」
沙羅はそう言って、将に丁寧にお辞儀をする。
「こちらこそ、よろしくお願いします」
将は優しい笑みを浮かべながら沙羅を見つめた。