菊の花
「はい、難しい話しではありません。ただ、沙羅様にしていただきたいことがございまして」
桔梗は頭をさげながら沙羅に伝える。
「別に沙羅姫にしていただかなくても俺がやればいいだろう?」
「将様では無理ですね。と言うか二人がすることです」
「二人で?」
沙羅はよく分からなかった。
「はい、泰国の頭主である将様の父上に会っていただきたいのです」
「そう言えば・・・一度もお会いしてませんね。婚約したと言うのに・・・失礼なことを・・・」
沙羅は今思い出した。
「沙羅様が常識のある御方で嬉しく思います」
「なんだ。まるで沙羅姫が非常識な御方だと思っていたと言っているのか!」
将は先程の桔梗の発言に声を荒げる。
「そう言うことではありませんよ。言葉と言うのは難しいですね」
「そうですね。自分の思っていることを上手く伝えることができなかったり・・・何だかもどかしいものですね」
沙羅と桔梗はいい雰囲気を醸し出していた。