菊の花
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「桔梗」
声の主はある男の名を口にする。
「はい」
シュタッと静かに音を響かせて主の前に跪く。
「向こうの様子は?」
「いつもとかわりません。頭主はは大変喜んでいますし、婚礼の準備も進んでいるようです。城下の者達は吉報に喜んでいます」
桔梗は詳しく説明する。
「そうか、下がっていいぞ」
桔梗は主に頭を下げると闇に消えた。
「面白くなってきた」
部屋の灯りが消え、辺りに静寂がおとずれた。