菊の花

「とりあえずこれで安心です」

紗羅は応急処置をほどこして、将に向き直る

「ありがとうございます」
「いいえ、お礼には及びません。早く城へ戻らなければいけませんね」

「はい、清煉殿が戻ってくるまで待ちましょう」

「それには及びません」

急に現れた清煉は御簾に入って来ると同時に頭を地面につくほどさげた。

「私の不注意で将様の従者の方を怪我させてしまい申し訳ありません!」

「気にしないでください。もし、逆だったらそっちのほうが大変ですよ。それに女性を守れない男が従者になんかなれません」

「しかし・・・・」

「ほら、頭をあげてください。それよりも一刻も早く城へ戻らなければ」

将は心配そうに桔梗を見る
「そうですね・・・今すぐ牛車を出させます」

「お願いします」

清煉は素早く御簾から抜け出して行った。


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