菊の花


俺は、城から城下を見下ろす。

今日も平和だ。

民には笑顔が溢れている。
しかし、その一角で喧嘩が見える。

「桔梗〈ききょう〉」

そう言うとシュタッと軽やかな音をたて、一人の男が俺の前に跪く。

「何でしょうか?将〈しょう〉様」

「床屋の裏で喧嘩だ。全員連れてきてくれ」

「かしこまりました」

そう言って桔梗は目にもとまらぬ速さで城下へ向かった。


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