真輔の風

無表情で意地悪な目つきをして、

相手をあざけるような顔で睨んでいる龍雄。

大柄な龍雄はその男より大きい。


同じように無表情で隣に立っている真輔… 

茶色がかった柔らかそうな髪を耳の下まで自然に伸ばしている。

目鼻立ちの整った顔によく似合っているが、

こういう場所には似合っていない。

雑誌のグラビアに載ってもおかしくないほどの美少年。

こういうシーンには可愛すぎる。

髪は… いつも祖父にはもっと短くしろ、と言われるが

祖母は可愛い、と言って勧めてくれる。

とにかくそんな真輔が、

龍雄を援護するように後ろで同じような雰囲気で立っている。



「おっさん、良いのか。援交だろう。
そいつが16歳ということを承知なのか。」


「何、お前… 」



そこまで言うと、男は掴んでいた女の髪を話して、

悔しそうな顔をして、

女を睨んで行ってしまった。

女は… 
そのまま動かずに黙って下を向いている。



「お前なあ、つまらん事をするなよ。
学校や親に知れたらやばいだろう。」



龍雄はめんどくさいと言うようなそっけない態度で、

黙って下を向いている女、
吉沢百合子に声をかけている。
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