真輔の風
「写真… 裸のか。」
そんなことは分かるだろう、
とばかりに信一が慌てて真輔の口を制した。
「でも、龍雄が飛び込んで… 逃げることに成功したのですよね。」
信一が気を使いながら…
真輔に任せておきたいが、
どうも時々、はっきり言いすぎる。
繊細な感じがする、と思えば…
分からないところがある。
それならば、
こういう微妙な話は自分がしたほうが良いのかも知れない。
信一はそんな事を思っていた。
「私は急いで服を掴んで実を支えて逃げた。
実は足をやられて上手く動けなかったので…
茜は反対側に逃げたの。
今日、学校で… 宮村君も小田切君も休んでいて、
山田君は来てもすぐいなくなってしまったと聞いて…
私たちすごく心配だった。
でも、警察へは行けないし…
昨日のことが他の人に知られたら…
とても不安で… 茜も同じ。
学校帰りに実のアパートへ寄ってみたら、
部屋の中は荒らされて、実の姿が無かった。
それで私… 夕方、塾へ行く振りをして… 」
「じゃあ、茜は。」
しかし、真輔は全く信一の気配りに気付いてはいなかった。
こう言う事は探偵志望の自分が、と思っているようだ。
「3時頃には一度携帯で話したけど、
今はつながらなくて…
ひょっとしたらあの男たちに… 」