真輔の風

「そうか… 呼び出されたのだ。
昨日のことで… 仕方なく、だ。

畜生。何て卑怯な奴らだ。
あのスナックかなあ。
横井さんはどうしてさっき、あそこを窺っていたのだ。」




真輔はこの時点で初めて茜の危機を感じた。

早く見つけなければ… 




「あそこしか知らないから… 
実があそこで働いていたから… 

昨日、私をかばってひどくやられていたのに、
また撲られたりしていたら死んでしまう、と思って… 」




晴美は心からその実と言う男の事を案じているようだった。




「そうか… 茜はどこだろう。
茜に目をつけた男は誰だ。知らないかい。」




とにかく、今の目標は茜を探す事だ。




「分からない… ごめんなさい。」




「別に謝ることはないけど… 
じゃあ、とにかく、僕があの交番にその立川実の捜索を頼むよ。

急いであのスナックを捜してもらおう。
あそこで消えた、と言えば捜してくれるはずだ。

僕は警察に貸しがあるから… 
あ、そうか、県警の四課に連絡するよ。

今日、来た人に… 
山城組の関係者がいた、と言えばすぐ来てくれるはずだ。

横井さんはもう帰れよ。
後で連絡する。」




真輔と信一は横井晴美に家に帰るように言い、
交番の巡査に話をした。

県警の四課にも伝えるように話して、
手続きは全て終わった。

後は警察の仕事だ。

自分たちは茜と吉沢百合子を探さなくては… 

< 101 / 155 >

この作品をシェア

pagetop