真輔の風
「そうか… 呼び出されたのだ。
昨日のことで… 仕方なく、だ。
畜生。何て卑怯な奴らだ。
あのスナックかなあ。
横井さんはどうしてさっき、あそこを窺っていたのだ。」
真輔はこの時点で初めて茜の危機を感じた。
早く見つけなければ…
「あそこしか知らないから…
実があそこで働いていたから…
昨日、私をかばってひどくやられていたのに、
また撲られたりしていたら死んでしまう、と思って… 」
晴美は心からその実と言う男の事を案じているようだった。
「そうか… 茜はどこだろう。
茜に目をつけた男は誰だ。知らないかい。」
とにかく、今の目標は茜を探す事だ。
「分からない… ごめんなさい。」
「別に謝ることはないけど…
じゃあ、とにかく、僕があの交番にその立川実の捜索を頼むよ。
急いであのスナックを捜してもらおう。
あそこで消えた、と言えば捜してくれるはずだ。
僕は警察に貸しがあるから…
あ、そうか、県警の四課に連絡するよ。
今日、来た人に…
山城組の関係者がいた、と言えばすぐ来てくれるはずだ。
横井さんはもう帰れよ。
後で連絡する。」
真輔と信一は横井晴美に家に帰るように言い、
交番の巡査に話をした。
県警の四課にも伝えるように話して、
手続きは全て終わった。
後は警察の仕事だ。
自分たちは茜と吉沢百合子を探さなくては…