真輔の風
真輔と信一がこれからの行動を考えていると、
そこへ真輔の携帯がなった。
祖父からだ。
「真輔、今ここに吉沢という女の子がいる。
お前と話がしたいようで、家の前にいたらしい。
ばあさんが気付いてわしに連絡して来た。
わしがタクシーで連れて行くから話を聞いてやれ。
今どこだ。」
「じいちゃん、今どこ。」
「タクシーの中だ。
わしもちょっと出かけていたのだが、
ばあさんから連絡を貰ってひとまず家に戻ったのだ。
お前に話があると言っているが、
高校生同士の話でも、どうも様子が変だから、
わしも付き合う。文句は無いな。」
栄作にとってはいつまでも可愛い孫の真輔だが、
事が女生徒となればいささかなりとも気を使う。
それで一応、理の言葉を出したようだ。
「うん、いいよ。
吉沢さんがじいちゃんと一緒なら一安心だ。
西神中央の駅前、交番の前にいるから… 」
そのことを信一に話した。
「信一、お前、もう帰れ。
あ、そうか、お前の手から手帳を渡して、
それから帰れ。」
「真輔は。」
「茜を探す。
ひょっとしたら組の事務所かも知れないから、
お前よりもじいちゃんのほうが力強い。
僕に剣道を仕込んでくれたのはじいちゃんだから。
じいちゃんに話して力になってもらう。」