真輔の風
それはタクシーの運転手と共に、
真輔たちの後を追った吉沢百合子だった。
百合子も真輔の事が心配で必死で追い駆けて来たのだ。
そして後から来た運転手の携帯で、
栄作と警察に連絡して…
二人は救急隊員の手で病院へ運ばれた。
真輔は龍雄がいる病院の同じ部屋にいる。
祖父母が無理を言って同じ部屋にしてもらったようだ。
ベッドに横たわった真輔は呼吸器を付けられ、
点滴のために出ている腕がやたらと細く感じる。
大柄な龍雄の隣と言う事で、
余計に真輔がはかなく感じられる。
その顔や体は… 全身にアザが浮き出て、
眠っていると聞いているが、死んだように動かない。
心配げな祖母…
真輔の側から離れることなく、時々目頭を押えている。
隣のベッドでは全身包帯だらけの龍雄が…
やはり心配そうに真輔のほうを見ている。
そして龍雄に付き添っていた頼子も…
夕方は元気そうに信一と見舞いに来て、
子供の頃と比べ信一より背が高くなっていたのに驚いた。
それが夜中にいきなり担ぎ込まれて…
まだ意識がないようだ。
医師は眠っているだけ、と、おばあさんに話していたが、
あんなものをつけているのだから…
あのアザだって… 体中に出来ているらしい。