真輔の風
風に乗って
栄作は、警察へ行っていた茜と吉沢百合子を送り、
病室へ戻ってきたが、真輔を見る顔は元気がない。
真輔が何をするのか承知で一緒に行動して…
年甲斐もない、と、よしのにさんざん叱られた。
それでも二人の少女が助かったのだ。
真輔の行動は世の為、人の為になったのだから… と、
自分の中ではていよく自己弁護をして、
やはり眠ったままの真輔が心配だった。
真輔のことは医師から説明を受けている。
体力の限界以上の行動をしたから、
体がパニックを起こしてアザとなって現れたのだ。
呼吸は… 今、正常に戻るように呼吸器をつけている。
時間の問題らしい。
それにしても先を走った茜は何ともなかった。
いや、真輔を案じていたぐらいだ。
真輔たちの後をあの吉沢と言う子も走って行った。
女の茜やあの子は平然としていたのに、
真輔だけがこんな状態では…
もう夏休みに入った。
これからは真輔の体力をつけることを考えなくては…
背が伸びて安心していたが、
中身はまだ出来ていなかったようだ。
分かっていることなのだから心配は要らないのだが…
こんな真輔を見ると…
とにかく、もう少し真輔の体力アップを考えなくてはならないな。
真輔の顔を見ながら栄作はそんな事を考えていた。