真輔の風

「学校と小田切さんの家の間にある住宅地… 」


「僕のこと知っているの。」


「だって… 同じ高校だもの。」



百合子は小学生だった頃から真輔を知っていた。

転校してすぐの頃、

校門の前で咳き込んでいた真輔を見て以来、

かわいそうな子、と思っていた。

とても可愛い顔をしていたが、

自分より一年上なのに体が小さくて弱々しそうだった。

中学は別だった。


それが、高校へ入学して… 
すれ違いザマに気が付いた。

小田切真輔… あのひ弱で小さかった子だ。

今ではスマートで格好良い高校生になっていた。


しかし相変わらずどういうわけかいつも一人。

友達らしき人はいなかった。

ただ思い出したように、

不良と呼ばれている龍雄と話をしていたが、

どう見ても友達とは思えなかった。

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