真輔の風
完全に歯車がはずれている二人…
重苦しい空気の中でただ呼吸をしているようだ。
誰が考えてもずれているのは真輔のほうだが…
それを自覚していない真輔と、
まさか、そんな事をこの真輔が思っているなどとは、
微塵も思わない茜。
ぴりぴりした空気の中で…
先に爆発したのが茜だった。
「真輔君、そんなに私が嫌い。
汚らわしいと思っているのね。」
茜はたまらなくなって、泣きそうな声を出した。
いや、感情が高揚してその目には本当に涙が溜まっている。
その声に、真輔は… 慌ててしまった。
どうして茜が泣くのか分からない。
「茜、泣くなよ。泣くようなことではないだろ。」
とにかくこんな所で泣かれたら、
自分が泣かしたように思われてしまう。
そう思った真輔は本当に慌てている。
「どうして。私にとっては泣くどころか死に値するようなことだわ。
真輔君は男だから分からないのよ。」
今度はいきなりヒステリックな言葉が返ってきた。
ヒステリー… これは女のヒステリーだ。