真輔の風
龍雄は調子に乗って自分を誘ったものの、
一緒だと夜遊びは出来ない、
と思っていたのだろう。
だから百合子を送る、という口実は、
この上なく、良いタイミングだったのだ。
自分が送って行くべきだが、
バンドの仲間を激励したいから真輔に代わりを頼んだ。
誰が聞いても納得できる。
友達だが、
おばあちゃんっ子の真輔を夜遅くまで
遊びに付き合わせるのは気が引ける。
たとえそれが真輔の望んだことであっても、
たとえ高校生になっている真輔であっても、だ。
不良と言われている自分は構わないが、
真輔はだめだ、
と勝手に考えているようだ。
そして真輔は、そんな龍雄が嫌いではなかった。
「真輔君、おはよう。」