真輔の風

龍雄は調子に乗って自分を誘ったものの、

一緒だと夜遊びは出来ない、

と思っていたのだろう。

だから百合子を送る、という口実は、

この上なく、良いタイミングだったのだ。

自分が送って行くべきだが、

バンドの仲間を激励したいから真輔に代わりを頼んだ。

誰が聞いても納得できる。


友達だが、

おばあちゃんっ子の真輔を夜遅くまで

遊びに付き合わせるのは気が引ける。

たとえそれが真輔の望んだことであっても、

たとえ高校生になっている真輔であっても、だ。


不良と言われている自分は構わないが、

真輔はだめだ、

と勝手に考えているようだ。

そして真輔は、そんな龍雄が嫌いではなかった。










「真輔君、おはよう。」
< 18 / 155 >

この作品をシェア

pagetop