真輔の風
白地のナイキ製スポーツシャツに紺のジーンズ、
やはりナイキのスニーカー姿の真輔と、
オレンジのタンクトップに黒のシャツ、
白っぽいジーンズはわざと破れ、
足元も後ろを踏みつけてサンダルのようになったスニーカーを
突っかけている龍雄。
龍雄は茶髪でピアスをしている。
龍雄ほどではないが身長はあり、
色白で痩せている真輔と、
よく日焼けして
たくましい筋肉が顔を出している大柄な龍雄…
どう見ても友達には見えない。
しかし今、友達として二人は仲良く歩いていた。
真輔の母は出産後病を併発して死んでしまった。
病弱だった真輔は、空気の汚れている東京より
神戸の爽やかな田園地帯のほうが… と、
少しばかりの畑仕事をしながら
悠々自適に年金暮らしをしていた
祖父母に預けられ今に来ている。
祖父・栄作が63歳、祖母・よしのが60歳のときだ。
栄作は最高裁判所の裁判官をしていた人だったが
55歳で退職し、
生まれ故郷に戻った。
が、今ではそこも西区という新しい地名になり、
田園地帯も様変わりして、
周りには開発された住宅団地が出来ている。
それでも市街の騒音を考えるとまだまだ静かな雰囲気だ。