真輔の風
「来年は三年生だ、大学受験を考えなければなあ。
ぼつぼつ東京の大学を物色しておいたほうが良いではないか。
孝輔がお前の意向を知りたがっていたぞ。」
「ここだよ。
大学はこの学園都市にたくさんある。
近くに外大があるから、
大学は外国語を勉強することにしているよ。」
そうなのだ…
真輔たちの家は少し離れているが、
高校のあるところは学園都市と呼ばれ、
ここ数年で神戸の大学がいろいろ移ってきている。
神戸外国語大学、芸術大学、看護大学、県立大学…
祖父や父が卒業した東京大学、
姉が通った慶応大学のように有名ではないが、
たくさんある。
「外国語… お前、もう将来のことを考えているのか。
孝輔を手伝えるような弁護士にはならないのか。」
「姉さんがいるじゃあないか。
僕は興味ないよ。
あ、知識としては必要かも知れないから、勉強はするけど… 」
「真輔、お前は何になりたいのかもう決めているのかい。」
祖母も優しい口調で聞いてくる。
祖父母だから、と
いつまでも真輔を子ども扱いしていては息子に嫌がられる。
本心としてはそれ程気にはしていないのだが、
一応の希望位は把握しておかなければ…