真輔の風
すると真輔は子供っぽい顔をして、
照れくさそうに笑みを浮かべて二人の顔を見た。
「探偵さ、
将来は明智小五郎やシャーロックホームズのような探偵になりたい。
でも、まだ内緒だよ。
じいちゃんたちだけに話したのだから。」
その言葉を聞いて…
栄作とよしのは自分たちの育て方に疑問を抱いてしまった。
可愛い、可愛いで愛情だけはたっぷり与えて育ててきたが…
探偵…
そんなものは、
現実では刑事くずれがなるような仕事ではないか。
推理小説に出てくる探偵は架空のもの、
小説家が知恵を絞って登場させた理想の人物像だ。
高校生になって身長も伸び、
悪い評判はあるが、
龍雄という友達も出来て…
安心していたというのに。
あんな本ばかり読みふけっているから、
心がいつまで立っても成長しないのか。
物語と現実が一緒になっているのだろうか。