真輔の風
たいした高校ではないが、
勉強しているかどうかも気にしたことが無かったが
成績は悪くは無い。
特に栄作はショックだった。
わしたちや孝輔の血筋なのだからバカではない。
その内に、自分からわしたちのように
司法の場をベースに活躍するようになるだろう、
と漠然と思っていたのだ。
真輔がここを離れるのは寂しくて辛いことだが…
自分たちが育てた孫が中央で活躍するのは
嬉しいことではないか。
それが、探偵になりたいとは。
体は大きくなっても心がまだ成長していないのだろう。
長いこと喘息で苦しんでいた孫だ、
心の成長はまだ先のことかも知れない。
黙って見ているより他はないだろう。
二人は暗黙の内にそう結論を出した。