真輔の風
二人は不安のまま警察署に着いた。
すぐに手錠を掛けられた真輔が現れた。
その顔は… 今でも自由になれば暴れてやる、
と言うような怒りを含んだ顔をしている。
いつものおとなしい孫ではない。
何をされたのだ。
第一、手錠とは何事だ。
手塩にかけて育ててきた、
愛おしい孫・真輔が刑事に連れられてきた。
今度は栄作の怒りが爆発してしまった。
よしのは、手錠をはずされた真輔に駆け寄っている。
「君たちは何のつもりだ。
高校生の孫に手錠など掛けおって。
真輔、その顔はどうした。
こいつらにやられたのか。」
いつもは温厚な栄作、
警察官たちを睨みつけながら、
腹の底から噴出したような大きな声で、
その場にいる警察官たちを威嚇している。