真輔の風
その声の大きさは、
とても八十に近い老人の声では無い。
顔… 別に誰にも顔を撲られた覚えはないが…
真輔の怒りもまだ治まっていない。
「じいちゃん… 警察はバカの集りだ。
大体、じいちゃんたちを呼ぶ暇があったらあいつらを捕まえたら良い。
じいちゃん、あいつら、龍雄を半殺しにした。
許せない。
龍雄が地べたに倒れていても、
あいつらは蹴っていた。
やっつけてやろうと思ったのに、
一度に六人とはやりあったことがなかったから…
警官が来たから捕まえてくれる、と思って安心したのに、
こいつら、逃がした。
バカだ。許せない。」
真輔は思い出しただけで激情が湧き上がってくる。
祖父の顔を見て興奮した声と態度で…
声を高めて訴えている。
自覚していない真輔だが、
こんなに興奮した事は今まで一度も無かった。
そんな真輔を見て…
栄作はまず真輔を落ち着かせて、と思い直した。