真輔の風

ここにいる警察官たちは、さっきから

真輔が暴れるから手錠をした、

と弁解のように説明していたが、

何故暴れたのだ… そんな子ではない。




「おじいさん、もう帰りましょうよ。
私、こんな所は嫌いですよ。
真輔も早く家に帰りたいですよ。」



よしのは居心地悪そうに真輔の腕を掴んで、
帰る素振りをしている。




「いや、まだだ。

断片的な話は聴いたが、
きちんとした説明は受けていない。

高校生の孫がどんな悪さをしたのか。
何故手錠を掛けられたか。

大の男の警察官が真輔に手錠を使わなければならない何があったのか。 

まず真輔の体を調べる。
体は正直だ、
何をされたかすぐわかる。

いいな、真輔。」


「良いけど… ここでか。」




いくら晩生の真輔でも、

それまで敵のように見なしていた、

警察官たちの前でシャツを脱ぐ事にはいささか躊躇いがあった。


しかし祖父の言葉の裏に、

何が隠されているのかはすぐに理解出来たから、

仕方なくその言葉に従う事にした。


祖父のお手並み拝見だ。


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