真輔の風
「そうだ、皆の前で、だ。
お前は体が弱かったから子供病院の先生にも言われていた。
その手首のようにすぐ痕が付いてなかなか治らない。
しかし、よい証拠にはなる。
いや、それよりもお前のことが心配だ。
顔にアザが出てきている、ということは体がどうなっているか、
おかしな痕が残っていれば写真に写して訴えてやる。」
栄作は、自分たちがどこにいるのか忘れたように
真輔のTシャツを脱がせて体を見た。
その言葉の裏には元裁判官のプライドが見え隠れしているが、
「まあ、おじいさん… 」
真輔の体を見て驚いた声を出したのはよしのだった。
確かに真輔の肌は痕が付き易いようだ。
背中にも腹部にもアザのような赤黒い痕がくっきりと出ている。
特にみぞおちの辺りは…
警棒で撲られて気を失った位だから…
肌が白いだけに痛々しい。