真輔の風

「そうだ、皆の前で、だ。

お前は体が弱かったから子供病院の先生にも言われていた。

その手首のようにすぐ痕が付いてなかなか治らない。

しかし、よい証拠にはなる。

いや、それよりもお前のことが心配だ。
顔にアザが出てきている、ということは体がどうなっているか、

おかしな痕が残っていれば写真に写して訴えてやる。」




栄作は、自分たちがどこにいるのか忘れたように
真輔のTシャツを脱がせて体を見た。

その言葉の裏には元裁判官のプライドが見え隠れしているが、



「まあ、おじいさん… 」




真輔の体を見て驚いた声を出したのはよしのだった。

確かに真輔の肌は痕が付き易いようだ。

背中にも腹部にもアザのような赤黒い痕がくっきりと出ている。

特にみぞおちの辺りは… 

警棒で撲られて気を失った位だから… 

肌が白いだけに痛々しい。
< 38 / 155 >

この作品をシェア

pagetop