真輔の風
「抵抗したわけではない。
あいつらを捕まえてくれるかと思ったら僕を…
だから怒っただけだ。」
「しかし、鉄パイプは危険な武器だから… 」
「あいつらは六人で龍雄を…
パイプしか転がっていなかったのだから仕方がないだろう。
警官はあいつらが逃げているのに何もしなかった。」
話している内に再び興奮してきたのか、
真輔の顔に浮き出ているあざがより鮮明になってきた。
「真輔、落ち着け。
聞こう、警官は何人だった。」
栄作は警察官たちに向って、
嘘は許さない、という気持ちを出して
尋問のような調子で聞き始めた。
聞かれた警察官は…
が、その時、三人の地位の高そうな警察官が入ってきた。
他の警察官たちが立ち上がって敬礼している。
彼らは軽く敬礼を返して、
栄作たちを見て静かな調子で自己紹介をした。
「この度はうちの署員が誠に持って、
早とちりをしましたようで…
神戸西警察署の署長として心よりお詫びいたします。」
そう言って三人に深々と頭を下げた。
居合わせた警察官たちも慌てて同じように頭を下げている。
署長の吉平は五十代で温厚な人柄がうかがえた。