真輔の風
どうやら間抜けな警察官としてあしらう気持ちは無いようだ。
「本当か、真輔。」
長年検事として、警察官サイドの立場で来た栄作は
まんざらでもない顔で真輔を見た。
それだけに、可愛い孫が理不尽な扱いを受けたことに
立腹していたのだ。
「うん。」
「それならどんな奴らだった。
学生か。チンピラか。
前科があれば写真があるから捜し易い。
なあ、そうだろう。」
栄作はまるで刑事のように真輔の心を誘導している。
その場に居て二人の会話を聞いていた警察官の一人が
急いでコンピューターを運び込んできた。
しかしそれを見たよしのは…
「やめてくださいよ。
真輔、帰りましょう。今日は疲れたでしょ。
龍雄君を覗いて、
どこかで美味しいものでも食べて帰りましょう。
おじいさん、そうしますよ。
この子は刑事ではないのですから。」
「おばあちゃん… 」
それまでは真輔を守るかのように、
抱きかかえて涙していたよしのだったが…
「協力したいのなら明日からにしなさい。
今日はもう駄目。帰りましょう、ね。」
その、優しいが,凛としたよしのの言葉には誰も逆らえない。