真輔の風
「分かりました。今日はこれで…
明日、ご都合がよい時間に我々がお宅へ伺います。
コンピューターを持参しますので… よろしいでしょうか。」
落ち着いた感じの警察官が、丁寧な口調でよしのに応じた。
「はい、結構です。」
今のよしのは、真輔の健康しか考えていない。
これ以上、こんな所に可愛い孫を置いておきたくない、
という心だけで考えている。
栄作にもその気持ちが良くわかった。
よしのの言葉通り、
三人は龍雄の病室をのぞき、
放心したように付き添っていた母親と、一言二言言葉を交わし、
そのまま寿司屋に入って… 家に戻った。
そして翌日の月曜日は終業式だったが、
真輔は手錠の痕が残っている、ということで学校を休んだ。
こういう時、
おばあちゃんっ子は厳しいことを言われる心配はない。
成績表だって興味なし、の真輔だ。
朝食が終わり、
二人は3匹の犬の世話をすることにして縁側にいる。
真輔は祖父と一緒に行動する事が好きだ。
一緒にいて、祖父からいろいろな話を聞くことが好きなのだ。
特に、真輔が好む推理小説に出て来ないような、
昔の祖父の仕事がらみの話を…
栄作は真輔に、
面白おかしく話をアレンジして話してくれる。