真輔の風
この前、教室で川崎茜たちに囲まれたとき、
吉沢百合子が、援助交際をしているらしい須磨の高校生と
付き合っている、と聞いた。
もしかして…
昨夜、真輔は、
治療は終わったが意識不明でベッドに横たわっていた
龍雄のことを考えながら、
急に茜たちの言葉を思い出した。
龍雄が何故、あんな怪我を負わされたのか。
そう言えば… 昨日、自分に知らせたあいつ、
確か、女、とか言っていた。
名前は知らないが…
あいつに会って聞かなくては…
あいつは… 畜生、名前ぐらい覚えておかなくては。
いつも龍雄と一緒にいた奴なのに
真輔は龍雄しか興味がなかった。
そうか、あとで川崎茜に電話して聞いてみよう。
あいつならきっと知っているに違いない。
自分の友達は宮村龍雄、
それと、友達ではないが、
小学校から知っている川崎茜。
こうなれば、いかに情けないかを感じるが…
それが真輔なのだから、仕方が無い。
真輔の頭の中はそうなのだ。
担任の名前も覚えていないぐらいの真輔だ。
ただ、学生だから学校へ通う。
そんな気持ちで過ごしていた。