真輔の風
そうか、吉沢百合子の名前は覚えた。
そう言えば… 今、彼女はどうしているだろう。
本当に彼女の友達は援助交際をしているのだろうか。
祖父に話しかけたものの、
真輔の頭の中は援助交際という言葉が急にちらついてきた。
「じいちゃん、高校生が援助交際をしていること、知っているか。」
「なんだ、お前、そんなことに興味があるのか。
駄目だぞ、今朝のニュースでも言っていた。
須磨の女子高生が援助交際をしていて、
妊娠して自殺したらしいぞ。」
「須磨の女子高生…
じいちゃん、援助交際ってどうやるのだ。」
確かに真輔には縁の無いことだった。
「お前には関係ない。若い女と仲良くしようと、
金を払って男が女を買うようなものだ。
言えば売春、男からすれば買春だな。
とにかく今は高校生、いや、中学生もいるらしい。
高価なバッグとか時計などが欲しくてする高校生もいるらしい。」
「ふーん… 」
なるほど、祖父は真輔より詳しい。
「おい、真輔、お前の友達か。」
いろいろ考えながらブラッシングしている真輔に、
祖父が笑うのをこらえるような声で囁いた。