真輔の風
昨夜もあれから真輔の事を案じて、
警察署の外で隠れて見ていた。
自分が真輔に知らせた。
真輔が警察に連行され…
訳が分らないまま、
血の気が失せた体を励まして様子を見ていた。
すると、真輔の家族が駆け込み…
真輔のおじいさんを見て何となく安心した。
あの人は何となく安心出来る人だ、と漠然と思っていた。
そして、真輔たちが病院へ入ったのを見届けたから、
こうして聞かせてもらおうと訪れたのだった。
そう、昨夜は一睡も出来なかった。
「龍雄は意識不明の重態だ。
おばさんたちが部屋にいた。
意識が戻ったら知らせてくれると言っていたけど…
また行くつもりだから一緒に行こう。」
「ああ… ありがとう。
昨年の夏に補導されたことがあるから…
どうも一人では行き辛くて… 」
「それで。」
真輔は信一の気持ちより話が先、
とばかりにその涼しげな瞳を信一に向け、
昨日何があったのかを急かした。
勿論すぐに信一も真輔の気持ちは分かった。
それも話さなければならないと思っていたことだった。