真輔の風

ずっと心に温めていた事、
考えていた事だった。

背負いながら一生懸命励ましてくれていたお兄さん… 

あの時はまともに話などしなかったが、

真輔にとっては、
初めてまともに接した年上の友達、

優しいお兄さんだった。

それが龍雄だ。



龍雄は… 初めはまともに受け取らなかった。


そう言えばそんなことがあったかも知れないが… 

あの時の子は小さくて軽かった。

とても五年生には見えなかった。


涙を流しながら咳き込んでいた子が… 

今でも健康そうには見えないが、

この真輔は剣道がやたらと強い。

そして時々得体の知れない鋭い目つきになるときがある。

とにかく自分の友達とは完全に毛色が違っている。

得体の知れないところがあるから気をつけよう。


真輔が嬉しそうに、

また感激した様子で話していても、

龍雄は心の中でそんな事を思っていた。


それが二年生になって、

留年した龍雄は真輔と同じクラスになった。


成り行きで友達のように振舞ってはいるが、

決していつも一緒にいるというわけではない。

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